2009年12月12日 (土)

望郷の道

Photo 私は幕末から昭和初頭の時代の人物記が好きなのだが、たまたま北方謙三の「望郷の道」という作品を知り、ずっと読みたいと思っていた。やっと農閑期となり読書する時間もできたので、早速読んでみた。
ストーリーは北方謙三の曾祖父で、「新高ドロップ」などで知られ戦前の4大菓子メーカーの1つに数えられた新高(にいたか)製菓の創業者・森平太郎をモデルにした小説。

時は明治。北九州・遠賀川流域で水運業ほか手広く商売を営む小添家の三男正太と、佐賀で三つの賭場を持つ藤家の一人娘にして、女親分でもある瑠瑋が出会うことで物語は幕が開く。藤家の婿となった正太は、並外れた才覚で一家の勢力と稼業を広げていく。だがそこで同業者との摩擦と確執が表面化。卑劣な罠に落ち、彼らは窮地に陥る。
九州所払となった正太は裸一貫で台湾を舞台に事業を拡大していく。「無法ば通したらいかん」という生き方を貫き、不公平を許さない。骨太な男と女の生きざまを描いた長編で、圧倒的な”筆力”で書かれた激動のストーリーだ。

実に痛快であっという間にのめりこみ上下巻を4日足らずで読んでしまった。その筋の通った啖呵の1つ1つが実に小気味好い!北方謙三は初めて読んだが、アクのある人物像からは想像できないくらい、自然な表現と描写で読みやすかったァ。
久しぶりに好い小説に会った!
「水滸伝」が終わったら、ぜひほらっちょ氏にも読んでもらいたいな。happy01

| | コメント (3)

2008年8月15日 (金)

終戦の日に…

001 ハリー・ポッターをなぜ発売当日に買わなかったかと言うと、その時ある面白い本を読んでいたからである。旦那が「これ面白いよ。」と貸してくれた本は”世界史の中の昭和天皇”というタイトル。私は明治初頭から昭和初期にかけての混乱の時代の人物史に興味があり、”白洲次郎~占領を背負った男”という本の関連で読んでみた。
この時期の人物史には必ず”戦争”というものが絡んでくるが、今まで政治には興味がなくその手の本は読んでみた事がなかった。しかしこの本は単なる昭和天皇の人物史に留まらずその軌跡を追う事で、当時の天皇論や軍部や内閣との関わりから近代日本史を理解できるよう構成されている。ゆえに学校で勉強した”満州事変”や”二・二六事件”、”真珠湾攻撃による第二次世界大戦の勃発”などををいかに浅く理解していたか、改めて考えさせられた。


あくまで立憲君主制をとりたい昭和天皇に対し、軍部の横行が泥沼化していく中でいつのまにか「現人神(あらひとかみ)」を演出され、いかに専制君主化していったか。
いかに敵対する連合国軍の兵力分析ができていなかったか。
いかに兵器の技術進歩を軽視していたか。
いかに指導者として見識にかけた人物が日本の命運を握っていたか。


それらが時局の流れとともに実によく理解できるように構成されている。
随分と早い段階から昭和天皇はこの戦争を終わらせようと暗躍していたことや、満州での軍部の横行や東京大空襲、原爆投下などの正確な情報は隠され続け「深刻に受け留めるべきものではない」と報告されていたことなど、この本を読んで初めて知ることはとても多かった。
「天皇陛下万歳!」と言って死んでいった若い兵士の命に悲しみ、その心痛のため不眠症に苦しみ、かなり体力も落とされていたことも知らなかった。
そして占領軍最高司令官マッカーサーに会いに行き
「敗戦に至った責任はすべて私にある。私の一身はどうなろうとかまわない。どうか国民が生活に困らぬよう連合国の援助をお願いしたい。」と言ったこと…。
昭和天皇がどう偉大であったのかを深く知ることができ、読みごたえがあった。
もう10年以上も前に発売され現在は絶版になっている本だが、読んでみる価値の大いにある本だ。
さらに特筆すべきは著者が外国人というところ。日本人じゃなくてもいろいろな資料からそう判断するのだ、という視点でも読めて感慨深い。
教科書では教えてもらわなかった日本史を、この終戦の日にお勧めする。

| | コメント (0)

2008年8月 8日 (金)

ハリーポッター最終章

32084382 いよいよ出ました!待ちましたよ、この時を…。
…の割に発売されてからもう2週間近くたっていますが…。(汗)
”ハリポタ”は映画化される前から原作を読んでいるので、思い入れがあるのだ。特にこの最終章は、筆者のJ・Kローリングが乳飲み子を抱えたシングルマザーで、生活保護を受けながら1杯のコーヒーで何時間も喫茶店で書いたという1作目「ハリー・ポッターと賢者の石」のベストセラーの後に書かれたもので、ハリポタの人気が上がるにつれ一時英国では「最終章など書き上がってはいない」と噂されていた章なのだ。
(これ有名な話)
2作目、3作目と物語が広がりを見せていくにしたがい、実に計算されたストーリー性に否が応にも最終章への期待は深まっていく。その待ちに待った最終章なのだああああああーーーーー!!勝手に盛り上がるぜェ…。

なるべく頑張って早く読みたいものだが、最近すぐ寝てしまいいつ読み終われるのか見当もつかない…。当分の私の夜のお相手はハリーになりそうである。

| | コメント (0)

2008年2月28日 (木)

ファティマ第3の予言

9784757734579最近読んだ本でとても面白かった小説”ファティマ第3の予言”。久しぶりに夢中になって読んだ。

ファティマの予言は中学生の時に”ツーリングエクスプレス”(全28巻)という河惣益巳の漫画で読んで知っていた。その時代珍しく政治や歴史、時事などをよく取材されていた少女漫画家さんで、ファティマの予言を題材にした第10巻は何度読んでも面白い。そんな予備知識から本屋でこのタイトルを発見した時は迷わず購入を決めた。

ファティマの予言は第一次大戦中の1917年5月13日、ポルトガル地方都市
ファティマで起こった。
事件の目撃者は、羊飼いの少女ルシア=ドス=サントス(10歳)ほか2人の子ども。この3人の前に聖母マリアが降臨し3つの予言をする。
問題なのは、7月13日に下された第3の予言。聖母の声を聞いたのはルシアだけで、予言の内容は彼女だけが知るもの(残りの2人の子どもは、事件後あいついで亡くなる)。のち、カルメル修道会の修道女となったルシアは、13年後の1930年に聖母との対話を記録した文書をヴァチカンのローマ教皇庁に送り、1942年、ローマ教皇庁は、第1と第2の予言を公開する。
第1の予言 「来年(1918年)の終わりまでに、平和が回復する」
       
「ロシアが災いのもとになる」
               
⇒第一次大戦の終結と、ロシア革命による共産党政権の出現?
第2の予言 「次の教皇(ピウス11世)の在位中に更にひどい戦争が始まる」
               
⇒スペイン内戦と第二次大戦? ピウス11世の在位は
                   1922年~1939年2月。

第3の予言は、ルシアの希望によって「1960年まで封印し教皇が保管する」という条件で1942年にヴァチカンに送られる。教皇庁はルシアとの約束を守り公開を拒否。その内容について、さまざまな憶測がなされた。1960年教皇ヨハネス23世は封印を解き予言を目にするが、なぜか再び封印。次の教皇パウルス6世も封印を解いたとき失神するほどの衝撃を受け、「公表すべきではない。私が墓の中まで持っていく」といって再び封印する。

こうした事実をうまく織り交ぜながら大胆な小説構成に一気に引きこまれ、謎解きが終わった後の清々しさ、本当に面白かった。あくまでもフィクションなんだけど「これが事実かも・・・」と思わせるほどよくできている。この話はきっと映画化されるに違いない!。

小説では触れられなかったが
実は第3の予言の一部は2000年に公開されている。
第3の予言 「白い衣の司教が十字架に向かう途中銃撃され、
         死んだように見えた」
             
⇒ヨハネ=パウロ2世暗殺未遂事件?

しかし内容が一部だっただけにさらに憶測をよび、噂は絶えないようだ。

| | コメント (2)

2007年10月26日 (金)

信州時代小説傑作集

Dscf0205 おもわず衝動買いをしてしまったこの5冊。約1万円。もちろん旦那との協議の上の購入だ、・・・ョ。”長野県図書館協会推薦図書”でもあるしなかなか面白そうだ。しかし親の夢中になっているものをどうしても触りたい(って言うか舐めたい?!)息子の魔の手をかいくぐって無傷で読み終える事ができるか自信がない・・。最近読んでた、実家の父に「ちゃんと返せよ」と言われて借りてきた”池波正太郎”の文庫本はちょっとボロッちくなっちゃって、今重石をして整えている状態だし(父には内緒)、先行き不安だ。

| | コメント (0)

2007年7月20日 (金)

イサム ノグチ

31145938 幕末・明治期から昭和にかけての人物伝を読むのが好きだ。日本の西洋化により文化や価値観に大変革があった時代に、海外で活躍した人の人物伝に特に心惹かれます。榎本武揚や緒方貞子なども面白かったのですが、今再読しているのは”イサム ノグチ”。詩人で日本人の父とアメリカ人の母を持つ前衛彫刻家です。ハーフということが父の国にも母の国にも帰属の場を持てなかったその一生を思い図ると深いものがあります。2000年に発行された本ですが、出版にあたり著者のドウス昌代は、イサムノグチに関わった人間にインタビューするため世界各国を周り、その数は300人を越えたそうです。莫大な資料を参考に描かれているので、作品としてのクオリティーが非常に高いです。この本がきっかけになって九州への新婚旅行の途中で、イサムのゆかりの地である香川県牟礼町の”イサムノグチ庭園”にも行ってきました。思い出深い1冊です。

| | コメント (2)